NPO法人ゆいまーる琉球の自治

特定非営利活動法人ゆいまーる琉球の自治における「自治」は、次のような後藤新平の自治の考え方に基づいています。 「人間には自治の本能がある。この本能を意識して集団として自治生活を開始するのが文明人の自治である。」 「自治を単に官治的地方自治に限るものとしてはならない。各種の職業組合ももちろん、自治でなけらばならない。」 「自治は、共助によって完全に行われなけらばならないものであるから、自治的精神は、また共助的精神として現われる。」 官治的法制度が上から琉球に適応されれば自治が実現するのではなく、自治的自覚を有する琉球の人間が自治の担い手であり、ゆいまーる(共助)によって自治を各地域において自ら作り出すことが重要であると、本NPO法人では考えています。 琉球の各島々においてこのような自治が実現することで、各島嶼は対等な関係となり、アジア太平洋地域とも自治的精神に基づいた関係を持つことができます。 地域の人間が発展の主体となり、地域の文化、歴史、自然、慣習等に基づき、島外からの新知識を選択的に活用しながら、諸問題を解決していくという内発的発展も人々の自治によって成し遂げることできます。 NPO法人の諸活動についてのご意見、ご感想、NPO法人への加入の意思等がありましたら、メールにてお伝えください。 e-mail: matusima345@yahoo.co.jp

プロフィール

松島 泰勝(まつしま やすかつ)

Author:松島 泰勝(まつしま やすかつ)
1963年石垣島生まれ。石垣島、南大東島、与那国島、沖縄島にて育つ。その後、東京、グアム、パラオ、沖縄島、静岡、京都、滋賀にて学び、働き、生活する。

那覇中学・那覇高校卒業。東京狛江市の南灯寮で4年近く生活。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程履修単位取得。早稲田大学から経済学の博士号を取得。

在ハガッニャ(グアム)日本国総領事館、在パラオ日本国大使館専門調査員、東海大学海洋学部海洋文明学科准教授を経て、現在、特定非営利活動法人ゆいまーる琉球の自治の代表、龍谷大学経済学部国際経済学科教授。

著書に『沖縄島嶼経済史―12世紀から現在まで』
『琉球の「自治」』(ともに藤原書店)
『ミクロネシア―小さな島々の自立への挑戦』早稲田大学出版部がある。

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太平洋の島として(下)

『沖縄タイムス』2007年2月7日 松島泰勝


琉球の自治を実現するために幾つかの提案を行ないたい。まず、内閣府沖縄担当部局を廃止する。内閣府沖縄担当部局は基地と補助金のリンケージを図る役所である。

沖縄の自立を妨げている役所である。経済自立、地域活性化を唱えて開発を進めてきたが、結果的には他者依存構造の強化しかもたらさなかった。

内閣府沖縄担当部局は沖縄県のための部署であり、多くの住民が「自立の妨げになるからいらない」という声を上げれば、巨大な財政赤字を抱える国は不必要な部署として廃止するだろう。

琉球内で得られる税金だけの行政を行い、基本的に地域社会のことは住民に自治をゆだねる。国からの財政支出金の削減をも根拠にして、基地の縮小・撤廃を要求する。

また、琉球内で経済活動を行なう企業に対して琉球内で税金を納めさせる。「ザル経済」のザルの目を塞ぐことが自立の基本である。

島を安売りするのではなく、入島税、環境税を課して環境や生活を守る。我々が観光客を選ぶことで、琉球が有する価値を保持する。

次に琉球と太平洋諸島との関係強化による、琉球の自治実現についての提案を行ないたい。太平洋諸島は琉球にとって非常に重要な存在である。

昨年、第一回中国・太平洋島嶼国経済発展協力フォーラムがフィジーで、第一回台湾・太平洋友好国サミットがパラオでそれぞれ開催された。

近年、東アジア、東南アジア諸国が太平洋諸島に関心を持ち、太平洋諸島の経済はアジア経済圏と融合しつつある。

戦前、ミクロネシアを初めとする太平洋諸島に琉球人が渡り、働き、郷里に送金した。つまり、琉球は太平洋諸島から恩恵を受けたという歴史的事実がある。

太平洋上に人口約1万人の国であるツバルがある。地球の温暖化による海岸侵食、地中から湧き出た海水による洪水、農作物の塩害等の問題が発生している。

同国の首相は2000年、豪州とニュージーランドに対して「環境難民」として全国民の受け入れを求めたが、両国とも難民としての受け入れを拒否した。

ツバルを琉球が受け入れたらどうであろうか。昨年10月にツバルを調査した際、インタビューを行なった同国の首相や外務省幹部も沖縄への移住を希望していた。同じ島嶼であり、暖かい島であることが魅力的であるという。

琉球には100以上の島があり、無人島もある。またツバル人と一緒に住みたいという島人も多いのではないか。ツバル人の移住にともない、ツバル政府を琉球内におく。

ツバル人の琉球定住は現行法では不可能である。琉球の政治的地位の変更が必要となる。例えば、琉球ツバル法を制定し、琉球を外交権が付与された自治領とする。

ツバル国民はツバルパスポートと琉球パスポートをもつ。現在、太平洋にあるクック諸島の住民は同国とニュージーランドのパスポート両方を有し、双方を行き来している。

または、法制度上の規制緩和によりツバル人移住を可能にするために「ツバル特区」を設置するという方法もある。

ツバルの広大な排他的経済水域(EEZ)を琉球とツバルとで共同管理する。現在、大国による資源乱獲の場となっているが、持続可能な発展を考えた海洋資源の管理と利用を目指す。

さらに気候温暖化問題に関する国連機関や研究機関を琉球内に設置し、海没の危機に直面する島嶼を救うための世界的な拠点とする。

琉球の周辺海域に対しても独自のEEZを主張すべきである。国際海洋法会議に代表者を送る。自治権を強化すれば琉球のEEZを確立しえる。

EEZの資源を担保に国際的な存在感を高める。太平洋の自治領であるニウエ、クック諸島等もEEZを有している。

ツバルは台湾と外交関係を有し、ツバル政府庁舎の建設等、台湾政府は様々な援助をツバルに対して実施している。そこで琉球において、台湾政府の資金によりツバル人に対する人材育成、自立産業の方策を学ぶ場所である台湾特区を設置するという方法もある。

日本政府からのみ財政支出金が提供されるという単一的な関係性から、アジア太平洋の様々な地域と政治経済的に連合するという多様な関係性に移行することで、琉球の自治や自立は現実のものになるだろう。

今年三月に「ゆいまーる琉球の『自治』―万人のもあい」という集いを久高島で行なう予定である。琉球にとって「復帰」とは何であり、何がもたらされたのか、このまま「復帰体制」を続けたら琉球はどうなるのか、「復帰体制」に代わる代替案はあるのか。

琉球の人間が島の自立、自治、平和、開発等について考え、学びあう集いである。21世紀の現在まで土地の総有制を守り続け、リゾート開発を拒否し、島おこし運動を展開している久高島において、「復帰」後の歩みを振り返り、これからの琉球について議論してみたい。

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